Microsoft365 vs Google Workspace データ保管場所
はじめに
最近、某社の情報漏洩事件を発端に「データは日本にないとダメだ」というお話をよく聞くようになりました。もともと金融系のお客様や官公庁系のお客様ではデータ保管場所について指定されることはありましたが、最近では一般企業様でも金融系や官公庁系と同様の対応を迫られるケースが出てきています。今回の記事では、Microsoft365とGoogle Workspace でデータはどこに保管されるのかを記載していきます。
そもそものお話
クラウドサービスであるMicrosoft365やGoogle Workspaceで保管されるデータは、製品の仕様上すべてを同じリージョン(地域)に保管させることができない場合があります。さらに各メーカーともデータセンターの詳細な場所については公開していません。物理的な攻撃からも顧客のデータを守る必要があるということから一般的にデータセンターの詳細な場所が公開されることはありません。
保管場所の選択
すべてのデータが特定のリージョンに固定できないにしても、データ保管リージョンを固定したい場合はもちろんあると思います。EUで定義されているGDPRにおける対応※1がメジャーなところになりますが、法律として定められた対応を迫られるケースもあります。
※1 GDPR対応は、MicrosoftおよびGoogle両社とも製品として対応しております。ただし、リージョン固定まで必要になるかに関しては利用する各エンドユーザの法務判断となることがほとんどです。
Microsoft365のデータ保管場所
Microsoft365は契約を結んだ国にデータセンターがあれば原則契約した国のデータセンターにデータが保管されます。Microsoft365は日本にデータセンターを持っていますので、日本で契約した場合は原則日本にデータが保管されます。また、Microsoft365ではグロバール展開されている企業様向けに、日本法人以外のデータはそれぞれの国のデータセンター(域内のリージョン)に保管させるための機能であるMulti-Geoを提供しています。Multi-GeoはEA契約(Microsoft Enterprise Agreement)がないと利用できないはずですので、ご利用予定の会社様は販売店様にお問い合わせください。
Google Workspace のデータ保管場所
続いてGoogle Workspaceですが残念なことに日本にデータセンターがありません。アジア圏では台湾かシンガポールのみとなります。Google Cloud Platformは日本にデータセンターを持っているのになぜ?と思ってしまいます。データセンターの位置についてはメーカーのサイトで公開されていますのでご確認ください。Google Workspace のデータはリージョン固定をしない限りはどこに配置されるかわからない仕様になっています。また、複数のデータセンターに対してデータを高速複製するようになっていますのでデータロストの心配もほとんどありません。
Microsoftと同様にデータの保管場所を固定することが可能になっています。選択可能なエリアは北米またはヨーロッパのみとなっており、データリージョン固定が可能なライセンスプランはEnterprise Plusのみとなっています。リブランドされてしまい現状契約はできませんが、G SuiteのころはBusinessプランからリージョン固定が可能でした。ニッチな機能ではありますが、こんなところでも劣化してしまっています。
まとめ
今回はデータ保管場所について記載をしました。世の中ではいろいろなセキュリティ事故が発生しており、そのたびにデータの保管場所は議論される形になるであろうと思ってます。日本で絶大なシェアを誇る某社で事故があったというのもありますが、本当に日本にデータがあれば安全なのか?はよく考えていただいたほうがよろしいかと思います。個人の見解ではありますがデータの保管場所が問題ではなく、サービスの管理体制や利用企業の管理体制のほうが大きな問題だと考えています。どうしても日本にデータを保管して安心したい場合はMicrosoftが選択肢になりますし、データ自体はどこにあっても良いという場合はGoogleも含めた検討が可能になります。本記事が皆様の製品検討の一助となりましたら幸いです。